どうも、ファイナンシャル・プランナーの山形です。
40代・50代の為の保険見直し術を保険の種類別に全4回にわたってお届けする企画です。
40代・50代の為の保険見直しシリーズ第1弾は医療保険・がん保険です。

入院した時の日額いくらとか、がんになったら一時金が○○万円とかってヤツですな。

そうそう、今回は「最強の医療保険」についてお伝えします。

そんなのあるの?
では、詳しく見ていきましょう。
保険を見直す時の基本的な考え方
医療の保障や死亡保障など色々な保険の種類がありますが、どの保険でも共通しているのが「公的な保障がどの様な内容になっているのか?」を確認して「それで足りない部分を民間の保険で補う」という考え方です。

日本の公的保障は充実しているので、まずはどんな内容なのかをちゃんと把握しましょう!
高額療養費制度とは?
日本の場合は誰しも何かしらの健康保険に加入しています。
会社員の方はもちろんですが自営業の方も国民健康保険に加入していますよね?
ですので基本的にはかかった医療費の3割が自己負担となりますが、一か月間で「自己負担限度額」を超えた部分については後で払い戻しますと言うルールになっており、これが公的医療保険の高額療養費制度です。
限度額適用認定証とは?
でも金額が多くなってくると立替えるのも負担になってきます。
そこで活用したいのが「限度額適用認定証」です。
事前に申請して限度額適用認定証をゲットしておかなくてはいけませんが、窓口で限度額適用認定証を提示すれば立替えは不要になり最終的な自己負担額を支払えばよくなるので安心ですね。
自己負担限度額は年齢と所得によって違う

じゃ自分の自己負担限度額はいくらなんだろう?
この自己負担限度額は年齢や所得によって分かれており、この記事では70歳未満の方の例をお伝えしています。
所得区分 | 自己負担限度額 | 多数該当 |
区分ア 年収約1160万円以上 | 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% | 140,100円 |
区分イ 年収約770万円~約1160万円 | 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% | 93,000円 |
区分ウ 年収約370万円~約770万円 | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% | 44,400円 |
区分エ 年収約370万円以下 | 57,600円 | 44,400円 |
区分オ 市区町村民税の非課税者等 | 35,400円 | 24,600円 |
式で見ると難しそうですが実際の数字を当てはめてみると簡単な話です。
区分ウの年収の方であれば仮に100万円の治療費がかかった場合、267,000円までは3割負担なので80,100円の自己負担ですよね。
そしてそれを超えた部分は1%の自己負担なので7,330円となり、合計で87,430円が最終的に負担する金額になります。

100万円の治療費がかかっているのに9万円弱で良いんですか?
やすっ!?
多数該当とは?
上の表の右側に書かれている多数該当についても確認しておきましょう。
これは高額療養費として払い戻しを受けた月数が直近の12か月間で3月以上あった時に、4月目から自己負担限度額がさらに引き下げられる制度です。

確かにいくら自己負担が8万円になったとしても治療が長期になると大変ですね。

そうだよね。そういった長期治療に対応する為のルールなんだ。
区分ウの方であれば4月目からの自己負担限度額が更に安くなり44,400円になります。
付加給付とは?
更にさらに公務員の方や一部の大企業にお勤めの方は「付加給付」という上乗せの給付があるので自己負担限度額がもっと低くなります。
上乗せされる金額は加入している健康保険組合や共済組合によって違うので事前にネットなどで調べておきましょう。

今まで色々な組合の付加給付を見てきましたが最終的な自己負担限度額が25,000円になる組合が多いようですね。

それはかなり手厚い保障ですね。
複数の医療機関や家族で合算して適用できる
因みにこの高額療養費制度は「家族で複数の方が同じ月に病気やけがをして医療機関で受診した場合」「一人が複数の医療機関で受診した場合」「一つの医療機関で入院と外来で受診した場合」などの自己負担額を世帯で合算する事ができます。
ただ合算する時はいくつか条件があるので要チェックです。
・受信者別の自己負担額が1か月21,000円以上
・同じ医療機関でも医科入院、医科外来、歯科入院、歯科外来をわけて計算する
・医療機関から交付された処方せんも対象(調剤薬局で調剤を受けた場合は、薬局で支払った自己負担額を処方せんを交付した医療機関に含めて計算できる)
・対象になるのは同じ健康保険制度の扶養家族のみ(共働きで妻が扶養から外れている場合は合算の対象外)
例えば夫がA病院で総医療費20万円でその内3割の6万円を自己負担額として支払い、同じ月に妻がB病院で同じ様に総医療費20万円でその内3割の6万円の自己負担額を支払ったとします。
この場合は合算が可能なので8万100円+(医療費40万円-26万7000円)×1%=8万1430円となり、実際に払った12万円との差額の3万8570円を払い戻してもらえるのです。

同じ様に考えると5つの病院で1ヵ月にそれぞれ2万円の支払いをしても高額療養費の対象にはならないね。

でも3つの病院で3万円ずつ支払った場合は合算して対象になると言う事なんだね。
高額療養費の請求は時効が2年なので心当たりのある方は確認してみましょう。
請求し忘れていた方もひょっとするとお金が戻ってくるかもしれません。
高額療養費制度の注意点とは?

良い点ばかり聞いていると逆に注意点はないのかな?と疑いたくなってきますね。

確かに注意点もいくつかあります。
1か月ごとに適用
高額療養費制度はあくまでも1か月の治療費で考えるので、治療が月をまたがってしまうと話が変わってきます。
例えば1か月のうちに15万円の治療費がかかった場合は対象となりますが、1か月目7.5万円2か月目7.5万円の治療費の場合、この病気にかかった費用は同じ15万円なのに対象外となってしまうんです。

病状にもよりますが緊急じゃない場合は月末の入院を避けた方がよさそうですね。
対象外の費用とは?
高額療養費制度は健康保険の制度の一つですので保険適用外の費用は対象外です。
・食費
・入院中の諸費用
・差額ベット代
・先進医療

これらはそもそも保険がきかない事は結構知られていますよね。
まとめ:公的医療保険が最強

あの~そろそろ40代・50代の方の「最強の医療保険」を教えてもらってもいいですか?

そうでしたね。「最強の医療保険」は・・・
・・・公的医療保険です。
高額療養費制度を含めた公的医療保険があれば民間の医療保険を上乗せしなくても、ある程度の貯蓄があれば対応可能だと思います。
医療保険は色々種類のある生命保険の中でも「払った保険料」に対して「受取る給付金」が少なく「元が取りにくい保険」と言われています。
医療保険は入院など病気にならないと使えませんが、現金で貯蓄している場合は使い道を選びません。
若いうちから医療保険の保険料分を貯蓄する様にして、老後の入院リスクに備えておいた方が結果的にお得になるケースが多いんです。
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