こんにちは、ファイナンシャル・プランナーの山形です。
40代・50代の為の保険見直し術を保険の種類別に全4回にわたってお届けする企画です。
40代・50代の為の保険見直しシリーズ第2弾は定期保険についてです。

定期保険と言うと万が一の時の保障ってヤツですね。

その通り。定期保険を見直す際のポイントは必要保障額をちゃんと判断できるかどうかがポイントです。

その人によって「家族構成」も「入ってくる収入」も「出ていく支出」も違うからどう考えればいいのか・・・。
分かりやすく解説していきますね。
必要保障額の基本的な考え方
必要保障額とは一家の世帯主が亡くなった後、残された遺族に必要となるお金(遺族の支出)から、残された遺族が得られるお金(遺族の収入)を差し引いた金額(=不足する金額)です。
この不足分を保険でカバーすると言うのが基本的な考え方です。
そして必要保障額は時期によっても変化するので、色々なライフイベントも含めて考える必要があります。
結婚
結婚する事で万が一の場合に保障を残す相手ができ、独身の時よりも死亡保障の必要性が高くなります。
出産
子供が生まれる事で配偶者への保障に加えて子供への保障も増えます。一般的には末子が生まれた時が一番必要保障額が多くなるタイミングになります。
住宅購入
住宅を購入する際に多くの方は「団体信用生命保険」に加入します。その場合、世帯主が亡くなると住宅ローンが完済される為、その後の住宅費がかからなくなり必要保障額は下がる事になります。
子供の独立
40代・50代の方はそろそろ子供が独立する年齢になってきます。
子供が独立する事によりその後の子どもの生活費がかからなくなる為、必要保障額は下がる事になります。
では次に遺族の支出と言われるものにはどの様なものがあるのか、逆に遺族の収入にはどの様なものがあるのかを具体的に見ていきましょう。
遺族の支出とは?
まず初めに世帯主が亡くなってしまった場合にどの様な費用が必要になってくるのか支出を見ていきましょう。

亡くなった直後にかかるものや負担がずっと続くものなど色々なものがありますね。

ここが見えてくると必要保障額も大体わかってくると思います。
住居費
まずはその方によって大きく変わってくる部分ですが住居費についてです。
大きく分けると2パターンあり、住宅ローンを組んでいて「団体信用生命保険」に加入しているか既に完済しているパターンと住宅ローンを組んでいて「団体信用生命保険」に未加入か賃貸住まいのパターンに分かれます。
前者は世帯主が亡くなるとローンも完済されその後の住居費がかからなくなります。
しかし後者は世帯主が亡くなったとしても、今までと同じ様に住居費を負担し続けなければいけません。
この差は大きくその後の必要保障額を考える際にも重要になってきます。
遺族の生活費
次にご遺族の生活費です。
残された子供や妻がその後生活していく為の生活費になりますが、これは今までいくらかかっていたのかをベースに考える事になります。
例えば1か月あたり30万円で生活していたケースであれば、団体信用生命保険に加入していた場合は住宅ローンで支払っていた金額を差し引きます。
仮に7万円のローンであれば残りが23万円になります。
更にご主人が亡くなる事によってご主人の食費などかからなくなる費用もある為、目安としては大体3割減して考えると必要な生活費が割り出せます。
最終的な計算式
今までの生活費30万円-住宅ローン7万円-ご主人の生活費6.9万円=16.1万円

約16万円が今までと同水準の生活をする為のご遺族の生活費と考えられますね。
教育費
更に支出の中で考えなくてはいけないのが子供の教育費です。
まだ子供が小さい場合は教育費がプラスで必要になってきますので、今までと同水準の生活費では足りない事になってしまいます。
どのぐらいの教育費が必要になってくるのか目安を確認しておきましょう。
学校 | 公立 | 私立 |
幼稚園(3年間) | 70万円 | 145万円 |
小学校(6年間) | 194万円 | 917万円 |
中学校(3年間) | 144万円 | 398万円 |
高校(3年間) | 135万円 | 312万円 |
大学(自宅) (4年間) | 265万円 | 544万円 |
大学(下宿・アパート) (4年間) | 573万円 | 800万円 |
※幼稚園から高校までは文部科学省 平成28年度「子どもの学習費調査」をもとに算出しています。
※大学は独立行政法人日本学生支援機構 平成28年度「学生生活調査結果」をもとに算出しています。
葬儀・お墓代
支出の部の最後は葬儀やお墓の購入についてです。
ここは亡くなった本人やご遺族などの考え方が分かれるところで、それによって費用もだいぶ幅があるのが実際の所です。
金融広報中央委員会がまとめたアンケート調査では下記のような結果が出ています。
・葬儀にかかる費用:約119万円
・お墓にかかる費用:約128万円
※金融広報中央委員会「暮らしと金融なんでもデータ」をもとに算出しています。
葬儀に関しては50万程の家族葬も増えていますし、地域によっては240万円を超える葬儀も実際に行われています。
お墓の購入も50万から200万オーバーまでピンキリで選べるというのが実情です。
特に拘りがなければ平均値で見ておくのが良いと思います。
遺族の収入とは?
大体どのくらいの支出が発生するのかが分かってきたところで、逆に収入として入ってくるお金はどの様な物があるのかを見ていきましょう。
遺族年金
まず初めに考えるべきは公的な年金の一つである遺族年金です。
これは加入している年金制度や家族構成、収入によって金額が変わってきますので自分の場合はいくらぐらいなのか概算を確認しておきましょう。
職業 | 夫が自営業世帯 (国民年金) | 夫が会社員世帯(厚生年金) | ||||
平均標準報酬 月額20万円 | 平均標準報酬 月額30万円 | 平均標準報酬 月額40万円 | 平均標準報酬 月額50万円 | |||
子供あり (18歳未満) | 遺族基礎年金 | 遺族基礎年金+遺族厚生年金 | ||||
子供1人 の期間 | 100.3万円 | 132.3万円 | 148.3万円 | 164.4万円 | 180.4万円 | |
子供2人 の期間 | 122.7万円 | 154.7万円 | 170.7万円 | 186.8万円 | 202.8万円 | |
子供なし (子供が18歳以上) | 妻40歳未満 の期間 | 0円 | 遺族厚生年金 | |||
32万円 | 48万円 | 64.1万円 | 80.1万円 | |||
妻40~64歳 の期間 | 0円 | 遺族厚生年金+中高齢寡婦加算 | ||||
90.4万円 | 106.4万円 | 122.5万円 | 138.5万円 | |||
妻65歳以降 の期間 | 妻の老齢基礎年金 | 遺族厚生年金+妻の老齢基礎年金 | ||||
77.9万円 | 109.9万円 | 125.9万円 | 142万円 | 158万円 |

中高齢寡婦加算って何だろう?

これは夫が死亡した時に40歳以上の子供のいない妻に上乗せして支給されるものです。
夫が死亡した後で40歳になった時には子供がいたが、その後末子が18歳に到達した年度の末日をむかえた妻も含みます。

あと注意しなくてはいけないのが夫が亡くなった時点で妻が20代の場合は遺族厚生年金を受け取れるのが5年間のみになってしまいます。

妻が若いとその後、就職や仕事復帰しやすいからって事が理由のようですね。
必要保障額モデルケース
ここまでご遺族の支出と収入について考えてきましたが、続いては40代の一つの世帯を例に具体的な必要保障額の考え方のモデルケースを見ていきましょう。
現状の把握
以前ライフプランをお作りしたAさんのご家族を例に解説していきます。
夫 42歳 会社員
妻 42歳 パート
長男 10歳 公立小学校
年収・・・夫450万円 妻・・・100万円
貯金・・・200万円
住居・・・マンション 持家
この様なご家族構成や資産状況は比較的多いと思いますので多くの方に参考にしていただけるかと思います。
Aさん一家の年間収支状況
続いてライフプラン作成前のご家庭の収支状況を見ていきます。
年間の収入 | |
夫の収入 | 450万円 |
妻の収入 | 100万円 |
収入の合計 | 550万円 |
税・社会保険料 | ▲95万円 |
可処分所得合計 | 455万円 |
年間の支出 | |
食費 | 50万円 |
水道・光熱費 | 30万円 |
通信費 | 15万円 |
保険料 | 22万円 |
住宅ローン | 96万円 |
管理費・修繕積立 | 28万円 |
車関連 | 50万円 |
子供関連 | 60万円 |
医療費 | 8万円 |
交際費 | 12万円 |
衣服費 | 15万円 |
支出の合計 | 386万円 |
万が一ご主人がなくなった場合に今の収入と支出のバランスをグラフにすると下記の様になります。
このグラフを見ても少なくてもこれから10年の間に世帯主が亡くなってしまうと収支バランスが崩れてしまう事が分かります。

ここをカバーする為の保険が定期保険ですね。
2種類の定期保険とは?
ではこのモデルケースの必要な保障額が分かったところで、その金額がカバーできる保険を選べばいいのですが、実は定期保険には保障タイプによって2種類あるのです。
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
定期保険
まずは一般的な定期保険についてです。
箱定期などとも呼ばれますが保険期間中は保障額が一定で、いつ亡くなっても同じ金額が保障される四角い形をした保障になります。
収入保障定期
こちらは定期保険の一種ですが収入保障保険と言い、保険金は一括ではなく毎月お給料の様に受け取るタイプになります。
仮に月の保険金額が10万円、保険期間が20年のケースで収入保障保険に加入してすぐに亡くなると
10万円×12か月×20年=2400万円の保障を受取れるという事になります。
これが加入してから10年後に亡くなった場合ですと受取期間が半分になった為に、受取金額も半分になります。
10万円×12か月×10年=1200万円
つまり時間を追うごとに受け取れる保険金額が下がっていく三角形の形の保障と言えます。
四角い形の定期保険と比べると青い削減部分の分だけ保障が少ない事になりますので、保険料も割安になります。
Aさん一家のケースは?

では先程のAさん一家を例にどの様に考えればいいのか見ていきましょう。

具体的な例がないと分かりにくいよね。
~~収入保障保険の具体例~~
Aさんが亡くなった時に収支バランスが崩れる一番の原因はやはり子供の教育費です。
現在10歳の子供が社会人になるまでの期間はやはり大きな保障が必要になってきます。
住居費・・・団体信用生命保険で完済
生活費・・・20万円/月→14万円/月(3割減)年間で168万円
教育費・・・900万円(公立小2年、中3年、高3年、大学私立4年)
葬儀、お墓代・・・250万円
合計・・・3166万円
遺族年金・・・1475万円
妻の収入・・・1200万円
合計・・・2675万円
この差額が491万円となり約500万円を保険として準備する事になります。
ですので子供が社会人として独立するまでで良ければ保険期間が12年、月の保険金額は多く見積もっても5万円で十分という事になります。(一時金で受け取りも可能でその場合はトータル金額が若干目減りする為)
まとめ:必要保障額を把握すれば過不足を防げる
この記事を読んでいただければ定期保険を見直す際は必要保障額がポイントになるという事はご理解いただけたと思います。

多くの方がこの様なステップを踏まずに必要のないぐらいの大きな保障の保険に加入しています。

適切な保険金額にすれば40代・50代の方も保険料も節約できそうですね。
現在加入している保険の内容を確認してみましょう。
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